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WEBサイトを運営していると、「アクセシビリティ」という言葉を耳にすることがありますよね。
でも、「何だか専門的で難しそう」、「自社には関係なさそう」と感じていませんか?もしかしたら、一部の限られた人たちのためのものというイメージが先行しているかもしれませんね。
しかし、アクセシビリティ対応デザインとは、特別な人たちだけに関係する話ではありません。英語で「近づきやすさ」、「利用のしやすさ」、「便利であること」などを意味する「アクセシビリティ(Accessibility)」が指し示す通り、「利用者が機器・サービスを円滑に利用できること」を目指したデザインのことなのです。
そのため、アクセシビリティ対応とは、高齢者や障がい者など特定の困難を抱える人たちはもちろんのこと、例えば、片手がふさがっていてマウス操作が難しい、騒がしい場所にいて音声が聞き取りにくい、一時的な体調不良で集中しにくいなど、一時的にWEBサイトが利用しにくい状況にある方までを含めて、あらゆる人がWEBサイトを快適に利用できるようにするための取り組みです。
この「誰もが使いやすい」という視点は、現代ビジネスにおいて非常に重要です。なぜなら、WEBサイトを使いやすくすることは、より多くの潜在顧客にリーチし、取りこぼしを防ぐだけでなく、企業の信頼性やブランドイメージ向上にも直結するからです。
この記事では、アクセシビリティ対応デザインの基本的な考え方から、具体的な取り組み例、そしてそれがなぜ貴社のビジネスにとって今、見過ごせないほど重要なのかを分かりやすく解説していきます。貴社のWEBサイトが、より多くの人に「選ばれる」ためのヒントを、ぜひ見つけてください。
目次
アクセシビリティ対応デザインの基本的な考え方

アクセシビリティ対応デザインには、4つの原則があります。
- 知覚可能(Perceivable):情報が様々な方法で、誰もが認識できるように提示されていること(例:画像に代替テキスト(alt属性)を設定する、動画に字幕や音声解説を付けるなど)
- 操作可能(Operable):ユーザーインターフェースやナビゲーションが、誰もが操作できるように作られていること(例:キーボード操作だけでサイトを閲覧できる、十分なクリック領域を確保するなど)
- 理解可能(Understandable):情報や操作方法が、誰もが理解できるように提供されていること(例:専門用語を避けて分かりやすい言葉を使う、一貫性のあるデザインにするなど)
- 堅牢(Robust):様々なテクノロジー(ブラウザ、補助技術など)で、確実にコンテンツが解釈できること(例:WEB標準に準拠したコーディングを行うなど)
これらの原則に沿ってデザインすることで、どんな状況の人でも情報にアクセスしやすくなります。
なぜアクセシビリティ対応がビジネスに重要なのか?

アクセシビリティ対応には、すべての人への配慮や企業としての社会的責任という意味合いもありますが、それだけではありません。企業側にとっても、ビジネスに直結するメリットがたくさんあるのです。
顧客層の拡大
アクセシビリティを高めることで高齢者や障がいを持つ方々も含む、より幅広い層のユーザーがWEBサイトを利用できるようになります。これは、新たな顧客獲得のチャンスに繋がるということです。
SEO効果の向上
アクセシブルなWEBサイトは、検索エンジンからも高く評価される傾向があります。適切な代替テキストの設定や構造化されたコンテンツは、検索エンジンのクローラーが内容を理解しやすくなるため、検索順位の向上に寄与する可能性があるのです。
ブランドイメージの向上と信頼獲得
「誰もが使いやすい」という姿勢は、企業としての社会的責任(CSR)を果たすことにも繋がり、顧客や社会からの信頼を高めます。企業イメージの向上は、長期的なビジネス成長の基盤となるでしょう。
法的リスクの低減
アクセシビリティ対応は単なる「義務」ではありませんが、国によってはWEBアクセシビリティに関する法規制が進んでおり、対応が義務付けられているケースもあります。日本でも「障害者差別解消法」の改正により、事業者にも合理的配慮の提供が義務化されました。
アクセシビリティ対応デザインの具体的なポイント

では、実際にどのような点に注意してWEBサイトをデザインすれば良いのでしょうか?本章では、いくつかの具体的なポイントと、その重要性について詳しく解説していきます。
適切なコントラスト比の確保
WEBサイトのテキストと背景色のコントラスト比は、情報の読みやすさに直結します。特に視力の弱い方や、色覚特性を持つ方にとって、コントラストが低いデザインは文字がぼやけて見えたり、全く判別できなかったりする原因となります。
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)などの国際的なガイドラインでは、可読性を確保するための具体的なコントラスト比の基準が設けられています。この基準を満たすことで、あらゆるユーザーがストレスなくコンテンツを読み進められるようになるのです。
色の組み合わせだけでなく、フォントの種類や太さも考慮し、全体として見やすいデザインを心がけましょう。
画像への代替テキスト(alt属性)設定
WEBサイトに表示される画像には、必ずその内容を説明する代替テキスト(alt属性)を設定することが重要です。これは、視覚障がいのある方がスクリーンリーダー(コンピュータやスマートフォンの画面情報を音声や点字に変換して伝えるソフトウェア)を利用する際に、画像の内容を音声で理解するための手がかりとなります。
例えば、商品画像であればその商品の特徴を、グラフ画像であればそのデータが示す傾向を簡潔に記述します。また、画像が表示されない環境のユーザーや、検索エンジンのクローラーにとっても、alt属性は画像の内容を理解するための重要な情報源となります。
キーボード操作への対応
マウスを使えないユーザーのために、WEBサイト上のすべての要素(リンク、ボタン、フォーム入力欄など)がキーボードのTabキーやEnterキーなどでアクセスし、操作できるように設計することは不可欠です。
運動機能障がいのある方を含め、何らかに理由でマウスが使えない状況にあり、キーボードのみで操作するユーザーは少なくありません。Tabキーで要素間をスムーズに移動でき、Enterキーやスペースキーでボタンのクリックやリンクの移動ができるようにすることで、幅広いユーザーがWEBサイトを快適に利用できるようになります。
フォームの入力補助
WEBサイトにおけるフォームは、お問い合わせや資料請求、会員登録など、ユーザーのアクションを促す重要な要素です。アクセシビリティ対応の観点からは、入力項目が分かりやすいラベル付けをされているか、エラーメッセージが具体的で分かりやすいか、といった点が非常に重要になります。
例えば、必須項目であるかどうかを明記すること、入力形式を指定すること(半角英数字のみなど)、入力例を提示すること、そしてエラー発生時にはどの項目に誤りがあるのかを明確に伝えることで、ユーザーは迷わず、ストレスなく情報を入力できます。
文字サイズの変更機能
ユーザーが自身の視力やデバイス環境に合わせて、文字サイズを自由に調整できるようにCSSを設計することも、アクセシビリティの重要なポイントです。ブラウザの標準機能での文字サイズ変更だけでなく、WEBサイト側で文字サイズ変更ボタンを設置することも有効です。
文字が小さすぎて読めない、あるいは大きすぎてレイアウトが崩れてしまうといった問題を解消し、ユーザーが最も読みやすい環境でコンテンツを閲覧できるように配慮することが求められます。
音声コンテンツへの字幕・文字起こし
動画や音声コンテンツを提供する場合は、聴覚障がいのある方や、音が出せない環境(公共の場所など)でコンテンツを視聴する方のために、字幕や文字起こしを提供することが求められます。
動画であれば、話されている内容や画面に表示されるテキスト情報を字幕として同期させる、音声コンテンツであれば、内容を全て書き起こしたテキストデータを提供する。こうした配慮をすることにより、耳が聞こえない方でも内容を理解でき、また音声を再生できない状況のユーザーも気軽に情報を得られるようになります。
まとめ:アクセシビリティは「すべての人に優しい」デザイン
アクセシビリティ対応デザインは、一部の特別な人だけのためではなく、「すべての人」がWEBサイトを利用できることを目指す、非常に大切な取り組みです。それは、企業のWEBサイトが持つ本来の目的である「情報提供や顧客との接点創出」を最大限に引き出すことにも繋がります。
「まだ何も着手できていない」
「どこから始めればいいか分からない」
貴社がアクセシビリティ対応についてこのように感じているなら、まずはWEBサイトの一部からでも改善を始めてみませんか?小さな一歩が、大きな変化をもたらすかもしれません。
株式会社MUでは、誰もが使いやすいWEBサイト制作のためのアクセシビリティ対応デザインについても、豊富なノウハウと実績を持っています。貴社のWEBサイトがより多くの人に届くよう、私たちがサポートさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。