多言語対応WEBサイトの作り方|SEO対策と制作手順【後編】

多言語対応WEBサイトの作り方|SEO対策と制作手順【後編】
WEB担当者
WEB担当者
多言語対応WEBサイトの必要性と準備についてはなんとなく分かりましたが、コンテンツ作成やSEO対策は具体的にどのように行っていけばよいのでしょうか?
コンサル先生
コンサル先生
そうですね。では、後編では実際に多言語対応WEBサイトを公開するまでの流れを説明していきますね。

>>「前編/多言語対応WEBサイトのメリットとサイトの準備」はこちら

目次

  1. 多言語対応WEBサイト制作のステップ(コンテンツ作成とSEO対策~公開)
  2. ステップ5:コンテンツの作成と翻訳
  3. 各言語のコンテンツライティング
  4. 一貫性の確保
  5. ローカライゼーション
  6. 翻訳ツールの利用と翻訳の精度確認
  7. 多言語対応サイト制作におすすめの翻訳ツール
  8. 翻訳の精度確認
  9. ステップ6:SEO対策の実施
  10. Hreflangタグの設定
  11. Hreflangタグの基本
  12. 正確な地域ターゲティング
  13. 各言語ページのメタデータ最適化
  14. タイトルタグ
  15. メタディスクリプション
  16. キーワードの最適化
  17. ローカルSEOの実施
  18. 検索エンジンごとの最適化
  19. ステップ7:テストとデバッグ
  20. 各言語ページの表示確認と動作テスト
  21. 表示確認
  22. 動作テスト
  23. ユーザビリティテストの実施
  24. テスト計画の作成
  25. テストシナリオの作成
  26. テストの実施
  27. 分析と改善策の考案
  28. ステップ8:公開と運用
  29. サイトの公開とプロモーション
  30. プレローンチ活動
  31. サイト公開
  32. ポストローンチ活動
  33. 定期的なコンテンツ更新とSEOメンテナンス
  34. 定期的なコンテンツ更新
  35. SEOメンテナンス
  36. まとめ

多言語対応WEBサイト制作のステップ(コンテンツ作成とSEO対策~公開)

多言語対応WEBサイト制作のステップ(コンテンツ作成とSEO対策~公開)

自動翻訳システムに頼るだけでなく、多言語に対応したWEBサイトを制作することは、企業のグローバル戦略上大きな役割を果たしてくれます。

前編では、WEBサイトを制作するための下準備段階(ステップ1~4)について解説しましたが、後編では実際のコンテンツ作成からSEO対応、そしてテストを経て公開と運用に至るまでのステップを解説します。

ステップ5:コンテンツの作成と翻訳

どれだけデザインや機能性に凝った仕様のサイトを作ったとしても、WEBサイトにおいて最終的に最も重要なのは「どれだけ優良で価値のあるコンテンツを提供しているか」です。

ここでは、多言語でのコンテンツの制作方法と翻訳ツールを利用する場合の扱い方について解説します。

各言語のコンテンツライティング

前編でも取り上げた通り、多言語対応サイトを構築する際には、言語ごとにその国や地域の文化なども踏まえて、適切なコンテンツを作成することが重要です。その際は、以下のポイントを考慮したうえで、効果的なコンテンツライティングを行ってください。

一貫性の確保

多言語で提供するコンテンツは、言語が異なっていても一貫性を保つことが原則です。異なる言語でも同じメッセージや情報を伝えることを意識して、統一されたトーンとスタイルを使用します。言語間でコンテンツの内容に齟齬があると、誤解を与えてしまったり、ブランドの信頼を傷付けることにもなりかねないため、注意が必要です。

ローカライゼーション

コンテンツの一貫性を確保したうえで、自社コンテンツの単なる「翻訳」ではなく、ローカライゼーションを意識してユーザーの国に合わせたコンテンツを作成します。

現地の文化や慣習に合わせた表現や事例を取り入れることで、ユーザーに親近感を与えることができます。

また、言語を話すターゲットオーディエンスの文化や嗜好を理解したうえで、それに合わせたコンテンツを作成することも重要です。

例えば、英語圏と日本語圏では、同じ内容でも表現やアプローチが異なる場合がありますので、そうした背景を理解したうえでライティングへ活かしていく必要があります。

翻訳ツールの利用と翻訳の精度確認

ローカライゼーションの観点からも、コンテンツの作成はその国の文化などに精通した翻訳者を採用することが望ましいと言えます。単に翻訳するだけでなく、その文化圏の人から見た時にそのメッセージがどのように映るかを踏まえた翻訳が可能だからです。

しかし、翻訳したい全ての言語に対してこうした人材を用意することは必ずしも容易ではありません。人材不足やコストの課題から、どうしても翻訳ツールに頼らなければならないケースもあるはずです。

実際に、翻訳ツールを利用すれば効率的に多言語コンテンツを作成することができますが、その際はツールの精度の確認が重要です。

ここでは、おすすめの翻訳ツールと利用する際の注意点を解説します。

多言語対応サイト制作におすすめの翻訳ツール
  • Google Translate:無料で利用できる翻訳ツール。基本的な翻訳には便利だが、専門用語の翻訳ミスやニュアンスの微妙な違いには注意が必要
  • DeepL:高精度の翻訳を提供するツール。文脈を考慮した翻訳が得意で、多くのビジネス文書で利用されている
  • WOVN.io:WEBサイト全体の多言語対応を自動化するソリューション。エンジニアなしでサイトを多言語化できる
翻訳の精度確認

自動翻訳ツールで生成されたコンテンツは、そのまま利用するのではなく、プロの翻訳者や監修者に依頼して確認・修正することをおすすめします。これにより、翻訳の精度と文化的な適応性を向上させることができます。翻訳自体を依頼することと比較すれば、安価にチェックを受けることができます。

特に、重要なビジネス文書やマーケティングコンテンツは、プロの翻訳者によるチェックが必要です。

プロフェッショナルへの依頼が難しい場合であっても、翻訳後のコンテンツをネイティブスピーカーや現地のスタッフに確認してもらうことで、誤訳や不自然な表現がないかを確認するなどの作業は最低限行うことをおすすめします。

ステップ6:SEO対策の実施

生成AIのコンテンツ制作精度が著しく向上する中、SGE(Search Generated Experiences/Googleの生成AIによる検索体験を提供する新機能)など新しい検索体験が提供され始めています。

こうした変化の時代のなかで「SEO対策はもう古い」という声も聞こえてくるものの、WEBサイトをSEO(Search Engine Optimization/検索エンジン最適化)に適して制作することは、依然として有効な戦略の一つです。ただし、従来のような小手先のSEO対策だけでは十分な成果を上げることは難しいため、目的に沿った戦略的な対策が重要です。

ここでは、多言語対応サイトにおいて有効なSEO対策について解説します。

Hreflangタグの設定

Hreflangタグは、多言語サイトにおいて各ページの言語と地域を検索エンジンに伝えるための重要なタグです。このタグを正しく設定することで、検索エンジンが適切な言語版のページを表示し、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。

Hreflangタグの基本

Hreflangタグは、HTMLのヘッダーセクションに追加します。例えば、英語版のページと日本語版のページがある場合、以下のように設定します。

このとき、「hreflang=”x-default”」を使用して、デフォルトの言語バージョンを指定することも可能です。

正確な地域ターゲティング

特定の国や地域をターゲットにする場合、hreflang属性に言語コードと地域コードを組み合わせて設定します。

【例】

米国向けの英語版ページは「hreflang=”en-US”」、英国向けは「hreflang=”en-GB”」とします。

各言語ページのメタデータ最適化

メタデータの最適化は、各言語ページのSEOにおいて非常に重要です。メタデータの設定は、以下のポイントに注意して行ってください。

タイトルタグ

各言語で適切なキーワードを含むタイトルタグを設定します。タイトルは検索結果に表示されるため、ユーザーの興味を引くように工夫します。

【例】

<title>多言語対応サイトのSEO対策 – 日本語</title>

<title>SEO Strategies for Multilingual Sites – English</title>

メタディスクリプション

各言語でわかりやすく魅力的なメタディスクリプションを設定します。これは、検索結果でのクリック率を向上させるために重要です。

【例】

<meta name=”description” content=”日本語ページのSEO対策を詳しく解説します。”>、<meta name=”description” content=”In-depth guide to SEO strategies for English pages.”>

キーワードの最適化

言語ごとに適切なキーワードを選定し、コンテンツやメタデータに含めます。これは、各言語で検索エンジンの評価を向上させるために必要です。

各地域の検索エンジンに対して最適化を行うことは、グローバルSEO戦略の一環として重要です。

ローカルSEOの実施

各地域の検索エンジンに対応するために、ローカルビジネスリスティングに登録し、現地のレビューサイトでの評価を集めます。

その際、現地の住所や連絡先情報を明確に表示し、ローカルなキーワードを含むコンテンツを作成します。

検索エンジンごとの最適化

Google以外にも、BingやBaidu、Yandexなど、ターゲット市場に合わせた検索エンジンの最適化を行います。それぞれの検索エンジンが重視する要素に基づいてコンテンツを調整します。

これらの対策を講じることで、各言語ページのSEO効果を最大化し、グローバルなユーザーにリーチすることができます。

ステップ7:テストとデバッグ

ひと通りのWEBサイトが出来上がったら、実際にWEB上に公開する前に、テストを行うことをおすすめします。

各言語ページの表示確認と動作テスト

多言語対応サイトの構築において、各言語ページが正しく表示され、正常に動作することを確認するために、徹底したテストとデバッグが必要です。

テストは、以下の手順を踏んで行います。

表示確認
  • クロスブラウザテスト:Google Chrome、Firefox、Safari、Edgeなど、異なるブラウザで各言語ページの表示を確認する。これにより、ブラウザ間の互換性を確保する
  • デバイステスト:PC、タブレット、スマートフォンなど、様々なデバイスでページが正しく表示されるかを確認する。異なる画面サイズや解像度に対応するためにレスポンシブデザインが正しく機能しているかを確認する
  • 言語切り替えの確認:各言語に切り替えた際に、適切なコンテンツが表示されるかを確認する。このとき、言語切り替えボタンやメニューが正しく機能しているかもチェックする
動作テスト
  • リンクの確認:すべての内部リンクと外部リンクが正しく機能し、404エラーなどが発生しないかを確認する
  • フォームのテスト:コンタクトフォームやサインアップフォームなど、ユーザーが入力するフォームが正常に動作するかをテストする。言語ごとにフォームの送信と確認メールが正しく動作するかを確認する
  • インタラクティブ要素の確認:ドロップダウンメニュー、スライダー、アコーディオンなどのインタラクティブな要素が期待通りに動作するかを確認する

ユーザビリティテストの実施

ユーザビリティテストは、実際のユーザーがサイトをどのように利用するかを観察し、使いやすさを評価するためのテストです。

以下の手順でユーザビリティテストを実施することで、多言語サイトの表示確認、動作テスト、ユーザビリティテストを効果的に実施し、ユーザーにとって使いやすいサイトを提供することができます。

テスト計画の作成
  • 目的と目標の設定:テストの目的を明確にし、具体的な目標を設定する(「多言語サイトのナビゲーションの使いやすさを評価する」など)
  • 対象ユーザーの選定:ターゲットユーザーを選定し、各言語のユーザーグループを含めるように計画を立てる
テストシナリオの作成
  • タスクの設定:ユーザーに実行してもらう具体的なタスクを設定する(「言語を切り替えて特定の商品ページにアクセスする」など)
  • シナリオの準備:テストの流れを詳細に計画し、ユーザーが自然にタスクを実行できるようにシナリオを作成する
テストの実施
  • 観察と記録:ユーザーがタスクを実行する様子を観察し、どのような問題が発生するかを記録する。必要に応じて、ユーザーにフィードバックを求める。
  • ビデオ録画:可能であれば、テストセッションをビデオ録画し、後で詳細に分析できるようにする
分析と改善策の考案
  • データの分析:収集したデータを分析し、ユーザーが直面した問題や改善点を特定する
  • 改善策の実施:分析結果に基づいて、サイトの改良点を具体的に実行する(ナビゲーションの再設計やフォームの使いやすさの向上などを行う、など)

ステップ8:公開と運用

テストを行った結果、大きな問題が認められなければ、実際の公開に踏み出します。

最終ステップでは、多言語対応WEBサイトの公開と、公開後の運用についての注意点などを紹介します。

サイトの公開とプロモーション

サイトを公開する際には、計画的なプロモーションが重要です。効果的な公開とプロモーションの施策は次の通りです。

プレローンチ活動
  • ティーザーキャンペーン:ソーシャルメディアやメールマーケティングを活用して、新サイトのティーザーを公開し、期待感を高める
  • インフルエンサーコラボ:業界のインフルエンサーと連携し、サイトの公開を知らせてもらうことで、広範囲にリーチする
サイト公開
  • メディアリリース:プレスリリースを配信し、業界のニュースサイトやブログに取り上げてもらうことで、認知度を高める
  • WEBサイトのサイトの最適化:検索エンジンに迅速にインデックスされるよう、サイトマップを送信し、技術的なSEO対策を実施する
ポストローンチ活動
  • 広告キャンペーン:Google AdsやSNS広告を活用して、ターゲットユーザーにリーチする
  • コンテンツマーケティング:ブログ記事やケーススタディを通じて、サイトの価値を伝え、トラフィックを増やす

定期的なコンテンツ更新とSEOメンテナンス

公開後も、定期的なコンテンツ更新とSEOメンテナンスを行うことで、サイトのパフォーマンスを維持し、改善していくことが重要です。

これらの取り組みによって、サイトの公開後も継続的に価値を提供し、検索エンジンでの順位を維持・向上させることが期待できます。

定期的なコンテンツ更新
  • 新規コンテンツの追加:定期的に質の高い新しいコンテンツを追加し、ユーザーに最新情報を提供。これにより、サイトのリピート訪問率の向上が期待できる
  • 既存コンテンツのリライト:古い情報を最新のデータに更新し、検索エンジンの評価を維持する。必要に応じてキーワードの見直しを行う
  • ユーザーからのフィードバック反映:ユーザーのフィードバックをもとにコンテンツを改善し、ユーザーエクスペリエンスを向上させる
SEOメンテナンス
  • 技術的SEOの確認:サイト速度、モバイルフレンドリー、サイトマップの更新など、技術的なSEO要素を定期的にチェックし、最適化する
  • バックリンクの管理:質の高いバックリンクを獲得し、スパムリンクを定期的にチェックして削除する
  • パフォーマンスのモニタリング:Google AnalyticsやSearch Consoleを活用して、サイトのトラフィックやキーワードランキングをモニタリングし、必要に応じて調整する

まとめ

グローバルで活躍するためには必須になっている多言語対応WEBサイトについて、前後編の2回にわたってその作り方について詳しく解説しました。

今や、企業の規模の大小に関わりなく、その活躍のフィールドは国境を越えて広がっています。そのなかで多言語対応のサイトを制作することは、企業の未来を左右するほど重要な戦略です。

各ステップで紹介した具体的な方法やポイントを押さえることで、多言語対応サイトの効果的な構築が可能となりますので、この記事を参考にして、グローバルなビジネス展開を支援する高品質な多言語サイトを実現してください。

ただし、ここで紹介したのはあくまでもWEBサイトを制作するための技術的な解説に過ぎません。ユーザー層に適切に自社の魅力をアピールし、企業の未来を切り拓いていくためには、有益なコンテンツを提供していく必要があるのは自明の理です。

そしてまた、自社の製品やサービスがグローバルで認められるクオリティのものでなければなりません。

多言語対応のWEBサイトを制作するためには、まずはそうしたグローバル戦略をしっかりと確立させたうえで、確かな施策として取り組んでください。

株式会社MUでは、ローカライズの支援を含め、英語圏を中心としたWEBサイト制作も承りますので、まずはお気軽にご相談ください。

筆者プロフィール

MU編集部

MU編集部

株式会社MU / 編集部
「お客様と共に前進するデジタルパートナー」をキーメッセージに掲げ日々、DX推進企業としてデジタルトランスフォーメーションを推進。
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