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ホワイトペーパーは、専門的な情報や解決策を提供する強力なマーケティングツールです。
しかし、その価値を最大限に引き出すためには、内容だけでなく、デザインにも注意を払う必要があります。
魅力的なデザインは、読者の注目を引き、情報の消化を助け、メッセージの理解を深めるのです。
前回は、マーケティングの観点からホワイトペーパーの役割や制作時の注意点について解説しましたが、本記事では、効果的なホワイトペーパーを制作するにあたってのデザインのポイントと、デザイン作業を支援するおすすめのツールを紹介します。
目次
デザインの基本原則
ホワイトペーパーのデザインは、単に「情報を伝える」以上の役割を持ちます。魅力的なデザインとは、読者の注意を引き、内容を通じてブランドの印象を強化する役割も担っています。そのため、デザインは内容の伝達だけでなく、読者とのコミュニケーションを深めて、記憶に残るブランド体験を提供するものでなくてはならないのです。
本章では、効果的なホワイトペーパーをデザインする際の基本原則を解説します。
これらのデザイン原則に則って作成することで、ホワイトペーパーは読みやすく、視覚的に魅力的なものになり、ブランドのイメージを強化する有効なツールになります。
読みやすさの確保
読者にとって読みやすく、わかりやすい資料であること。これは、ホワイトペーパーの内容以上に重要なポイントです。読みにくくてわかりにくい資料を提供してしまうと、いくら内容が充実していたとしても、企業の信頼を損ねる可能性があるためです。
ホワイトペーパーの読みやすさを確保するには、次のようなポイントに注意してデザインを考えます。
- フォント選択:テキストの読みやすさは、フォント選択で大部分が決まる。サンセリフ体やセリフ体のクリアでシンプルなフォントを使用し、専門的な内容でも読者が疲れることなく読み進められるように工夫する
- 行間と段落:適切な行間と段落のスペースは、テキストの読みやすさを大きく向上させるため、読者がテキストを追いやすくなるように十分な行間を確保し、段落ごとに明確な区切りをつける
- 強調表示:重要なポイントやキーワードは、太字、イタリック、または色を変えることで強調することでよりわかりやすいビジュアルのテキストとなる
ブランドイメージの統一
ホワイトペーパーにとって「読みやすさ」は大前提ですが、もちろんただ読みやすければどのようなデザインでも良いわけではありません。企業としてのブランドイメージの統一が実現されていることも重要です。
ブランドイメージの統一を行う際には、次のような点に注意します。
- 色とフォント:読者に安心感を与え、信頼性を高めるために、使用する色やフォントは企業のブランドガイドラインに基づいていなければならない(明確なガイドラインが未作成の場合であっても、ロゴマークやウェブサイト、パンフレットなどで提示しているブランドイメージと一貫性を保つように注意する)
- ロゴとビジュアル:企業のロゴや特定のビジュアルエレメントは、文書の適切な位置に配置する。これにより、ホワイトペーパーが企業が公式に作成したものであることを明確にし、ブランド認識を強化する
視覚的階層の作り方
ホワイトペーパーは、PDFでダウンロードされてモニター上で読まれる場合もあり、また印刷物として利用されることも多い媒体です。そのためどちらの場合であっても読みやすい構造を意識する必要があります。やはりWEB記事のように階層構造を取っていたほうが、ビジュアル的にも見やすくわかりやすい資料になります。
視覚的にわかりやすい階層構造は、次のことに注意してデザインしてください。
- 見出しとサブヘッダー:情報を階層化し、読者が文書の構造を理解しやすくする。具体的には、大きな見出しでセクションを区切り、サブヘッダーで詳細なトピックを紹介するなど工夫する
- リストと箇条書き:長い文章の代わりに、リストや箇条書きを使用して情報を提示することで、読者が重要なポイントを素早く把握できるような工夫をする
- グラフィックとイラスト:情報に関連するグラフィックやイラストを活用することで、複雑な情報やデータを視覚的に表現し読者の直感的な理解を助ける。これには、表やグラフも含まれる
注目を引くカバーデザイン
ホワイトペーパーのカバー(表紙)デザインは、その成功において非常に重要な役割を果たします。
カバーは、ホワイトペーパーの中で最初に目にする部分であり、読者の注意を引き、興味を喚起する「顔」です。
効果的なカバーデザインは、次の要素を考慮して作成します。
内容のエッセンスを捉える
カバーをひと目見ただけで、読者が漠然とでも内容が想像できることは、ホワイトペーパーの有効性を高める重要な施策です。
そのための主なデザイン要素は次の通りです。
- 視覚的アトラクション:カバーに使用される画像やイラストは、ホワイトペーパーの主題や内容のエッセンスを捉えるものとする。例えば、テクノロジーに関するホワイトペーパーなら、そのテクノロジーを象徴する画像や、関連するイノベーションのイラストを選ぶことが望ましい
- 色彩の選択:色彩は感情や興味を引き出す強力なツールである。カバーの色は、内容のトーンやブランドのイメージに合わせて慎重に選ぶ必要がある。例えば、鮮やかで明るい色は、エネルギーと革新を表現するのに適している一方で、落ち着いた色は信頼性や専門性を示すのに役立つなど、ブランドイメージとも相まった慎重な選択が求められる
タイトルとサブタイトルの明確化
「白書」の名の通り、もとは政府や公共機関の発行する資料がホワイトペーパーの原点ですが、ビジネスで利用する場合のタイトルはいかにも「お役所的」で「画一的」なものであってはなりません。
読者の興味を引き付け、かつ内容が明確にイメージできるようなものである必要があるのです。
タイトルとサブタイトルに求められる、それぞれのポイントを解説します。
- タイトル:カバーに表示されるタイトルは、ホワイトペーパーの内容を簡潔に表すものとする。また、タイトルは大きく、読みやすいフォントでデザインし、読者が一目でその内容を理解できるようにする
- サブタイトル:サブタイトルは、タイトルよりも詳細な情報を提供し、読者に対してより具体的な説明を提示し、あるいはベネフィット(読者が得る恩恵)を記載する。サブタイトルは、タイトルの補足として機能し、読者がホワイトペーパーを読むべき理由を明確に書く
プロフェッショナルで誘引力のあるカバーデザイン
企業のブランドイメージを底上げし、その価値を一段と高める戦略として、ホワイトペーパーのデザインはプロフェッショナルでビジュアル的にも優れた誘引力を持つものでなくてはなりません。
ここでは、プロフェッショナルなホワイトペーパーを体現するデザインのポイントを解説します。
- デザインの一貫性:カバーデザインは、ホワイトペーパー全体のデザインテーマと一貫性を保つことが重要。これにより、プロフェッショナルな印象を与え、ブランドイメージを強化する
- 誘引力のある要素:カバーは読者の注意を引きつけ、内容を読みたいと思わせる誘引力を表す。魅力的なビジュアル、興味をそそるタイトル、目を引く色彩を使用して、読者が手に取りたくなるようなデザインを心がける
コンテンツのレイアウトと構成
効果的なホワイトペーパーは、ただ情報を提供するだけでなく、自社が専門的な知見を有する情報を、いかに魅力的かつ理解しやすい形で提示するかに注力することが大切です。そのために重要なのが、コンテンツのレイアウトと構成です。
テキストとビジュアルのバランスを適切に取ることや、インフォグラフィックやチャートを効果的に活用することは、ホワイトペーパーを読者にとって魅力的で価値あるリソースにする上で不可欠の要素ですコンテンツのレイアウトと構成において、これらの要素を適切に組み合わせることで、情報の伝達効果を最大限に高めることができます。
テキストとビジュアルのバランス
ホワイトペーパー内に配置するテキスト(文字情報)とビジュアル(視覚情報)は、最適なバランスでレイアウトする必要があります。
そのためには、次のような点に注意してデザインを考えていくことをおすすめします。
- ビジュアルの挿入: 長文のテキストだけでは読者の関心を保持することが難しいため、文章を読むことによる疲労を軽減し、情報の理解を促す画像、図表、インフォグラフィックを適切な箇所に挿入する
- ビジュアルの役割:ビジュアルは読者の注意を引くだけでなく、情報の伝達においてもテキストとは異なる重要な役割を果たす。例えば、製品の使い方を示す画像や、業界のトレンドを示すグラフを用いることで、テキストだけで説明するよりもより効果的に読者に情報を伝えることができる
インフォグラフィックとチャートの活用
データを視覚的・直感的に読者に伝えるためには、インフォグラフィック(情報を視覚的に表現する画像)やチャート、図表などの活用が欠かせません。
その制作ポイントは、次の通りです。
- 複雑なデータの視覚化:専門的な内容を含むホワイトペーパーで取り上げる複雑なデータや統計は、読者にとって理解が難しい場合が少なくないため、インフォグラフィックやチャートを活用することで、これらの情報を視覚的に表現し、読者が一目で理解できる形にすることが望ましい。これにより、情報の伝達効率が高まり、内容の魅力も向上する
- ストーリーテリングの強化:インフォグラフィックは、データや情報をストーリーとして展開するのに非常に有効。数字や統計をただ並べるだけではなく、読者に伝えたいメッセージや結論を視覚的に示すことができる。また、チャートやグラフも同様に、時間の経過に伴う変化、比較、傾向などを明確に示すのに役立つ
おすすめデザインツール5選
ホワイトペーパーのデザインにおいて、読者の注意を引き付け、情報を効果的に伝えるための魅力的なビジュアルとプロフェッショナルなレイアウトを一から作り上げることは、プロのデザイナーでない限り難しいかもしれません。そのような時に有効なのが、特別な知識がなくても扱えるデザインツールです。
本章では、高品質なホワイトペーパーの制作を支援するデザインツールを5つ紹介します。自身のスキルレベルや環境にあわせて、最適なツールを選択してください。
ツール1:Canva
特徴
Canvaは、使いやすいインターフェイスと豊富なテンプレートを提供するオンラインデザインツールです。
初心者からプロフェッショナルまで、誰でも簡単に美しいデザインを作成できるとあって、大きなシェアを誇っています。
Canvaは豊富なテンプレートを用いて、ホワイトペーパーの作成だけでなく、ソーシャルメディアの投稿からプレゼンテーションまで、幅広い用途に対応しています。
利点
豊富な無料テンプレートとドラッグ&ドロップ式の操作で、デザイン経験がなくても直感的に使用できます。
ツール2:Adobe InDesign
特徴
Adobe InDesignは、業界をリードするページレイアウト機能を備えたDTP(デスクトップパブリッシング)デザインソフトです。
高度なタイポグラフィやページデザイン、レイアウトの調整機能を提供し、プロフェッショナルな出版物の作成に最適で、他のAdobeツールとの連動性が高いのも特徴です。
利点
細部にわたるレイアウトの調整が可能で、印刷物だけでなくデジタル出版にも対応しているため、多様なホワイトペーパーのデザインニーズに応えてくれます。
ツール3:Venngage
特徴
Venngage(ヴィンゲージ)は、インフォグラフィックのテンプレートが豊富に揃った報告書の作成に特化したオンライン画像作成ツールです。
美しいビジュアルを簡単に作成できるよう設計されており、データの視覚化に強みを持っています。
利点
豊富なインフォグラフィックテンプレートとアイコン、チャートオプションが用意されており、複雑なデータや情報を簡潔かつ視覚的に表現するのに適しています。
ツール4:Piktochart
特徴
Piktochartは、ドラッグ&ドロップ式のインターフェイスで、インフォグラフィック、プレゼンテーション、プリントメディアなどのビジュアルコンテンツを簡単に作成できるオンラインツールです。
すべてブラウザ上で扱うことができ、直感的な操作性と美しいデザインテンプレートが特徴です。
利点
デザインの初心者でも簡単に扱えるユーザーフレンドリーな設計でありながら、プロフェッショナルレベルの出来栄えを実現できます。ただし、日本語の説明はない点には注意が必要です。
ツール5:Microsoft Publisher
特徴
Microsoft Officeの一部として提供されているDTPソフトです。
使い慣れたofficeのインターフェイスを持ちながら、ニュースレター、ブローシャー、ホワイトペーパーなどの出版物を作成するための高度なレイアウトとデザイン、編集機能を提供します。
利点
officeとの高い互換性を誇るため、WordやExcelで作成した文書やデータをスムーズにインポートして使用できるため、ビジネス環境での作業効率が大幅に向上します。
まとめ~効果的なホワイトペーパーのデザインの重要性
ホワイトペーパーは、企業が自らの専門知識を武器に、製品やサービスについて深く、詳細に情報を提供することができる有力なツールです。
しかし、その価値は内容の質だけでなく、「どのようにその情報を提示するか」といった視覚要素によって大きく変化します。効果的なホワイトペーパーのデザインは、読者の注意を引き、情報の伝達を促進し、ブランドイメージを強化するために不可欠なのです。
- デザインの基本原則に従うこと
- 読みやすさを確保すること
- ブランドイメージを統一するこ
- 視覚的階層を作り出すこと
これらは、効果的なホワイトペーパーを作成する上での大切な要素です。
さらに、注目を引くカバーデザイン、テキストとビジュアルの適切なバランス、インフォグラフィックとチャートの活用は、情報をより魅力的で理解しやすくするために必要となるのです。
本記事で紹介したおすすめのデザインツールを活用することで、専門的なデザイン知識がない人でもプロフェッショナルなホワイトペーパーを作成できます。
とはいえ、情報の価値を高め、読者に対する企業のメッセージを明確に伝えるホワイトペーパーの作成のためには、自社の強みを理解して適切にアピールできるマーケティング力と、その情報を魅力的に表現するデザイン力のどちらもが必要です。しかし、優れたツールを使用したとしても、なかなかデザインのプロには敵わないというのが実情です。
そのようなときは、ぜひともプロフェッショナルなデザイナーを多数抱えている株式会社MUにお気軽にご相談ください。
貴社のマーケティング上の課題解決をお手伝いするとともに、効果的なホワイトペーパー作成をお客様と共に組み上げてまいります。