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デジタル社会を迎え、企業の規模を問わずグローバル市場で活躍できるようになっている現代。自社サイトを多言語対応にすることは、もはや選択肢ではなく必須の要件となっています。
そこで本企画では前後編に分けて、初心者にもわかりやすく、多言語対応サイトを作成するための具体的な手順とポイントを解説します。
日本語、英語だけでなく複数の言語に対応することで、グローバルなビジネス展開を支援し、より多くのユーザーにリーチする方法を学んでください。
近年、GoogleChromeをはじめとするWEBブラウザには、多言語をユーザーの任意の言語に変換するシステムが実装されています。
この機能は日本以外でも同様に広まっています。そのため、「日本向けの日本語サイトを作ってさえいれば、この機能を使うことで、海外の見込み客もサイトの内容を理解できるのではないか?」と考える気持ちは理解できます。しかし、実はそれほど単純な話ではありません。
海外の顧客にしっかりと自社のビジネスを伝えるためには、やはりその国の言語に対応したWEBサイトを制作する必要があるのです。まずは、その理由について解説します。
多言語対応サイトの制作は、グローバル市場での競争力を高めるために重要な企業戦略です。
Google翻訳をはじめとする自動翻訳ツールは確かに手軽に利用できますが、その反面、以下の点で現時点では不十分と言わざるを得ません。
自動翻訳ツールの限界を理解した上で、上記の課題を乗り越えられる多言語対応WEBサイトを作成することは非常に重要です。
安易に自動翻訳ツールに頼るのではなく、専門の翻訳者やローカライズ(その地域のユーザーの文化などを考慮した翻訳作業)ツール・サービスを活用して、高品質なコンテンツを提供することで、次のようなメリットが享受できるのです。
このように多くのメリットがある多言語対応WEBサイトですが、実際にはどのように考え、どのように制作していけばよいのでしょうか。
前編となる今回は、サイトの設計からデザインなど、制作のための下準備段階を中心に解説します。
WEBサイトを制作するには、一つひとつのサイトに割り振られたドメインを取得する必要がありますが、多言語対応WEBサイトを構築する際には、特別なドメイン戦略を考えなければなりません。
ここでは3つの戦略を紹介しますが、それぞれの利点と欠点を理解し、目的に応じた最適な選択をすることが重要です。
これらのポイントを考慮し、最適なドメインとURL構造を選定することで、効果的な多言語対応サイトを構築することができます。
自社が日本国内で使用しているドメインに対して、ドメインの前に海外向け日本サイトであることを表すサブドメインを設定し、これまでのドメインを利用して多言語のサイトを作成します。
既存のドメインに対して、新しいコンテンツ(ページ)として他の言語に対応したディレクトリを設定し、子サイトのように運用する方法です。
国別に特別に指定された「国別コードトップレベルドメイン(ccTLD)」を取得することにより、訴求したい国に対応した新しいサイトを作成します。
多言語対応サイトを構築する際には、各言語ページのURL構造を慎重に設計する必要があります。ここではその注意点を解説します。
各言語のURLは明確で一貫性を保つように設計します。例えば、英語ページなら「/en/」、フランス語ページなら「/fr/」とすることで、ユーザーにも検索エンジンにも分かりやすくなります。
各言語ページにHreflangタグ(Webページの言語と地理的ターゲットを指定するために使用されるHTML属性)を設定することで、検索エンジンに対して特定の言語と地域向けのページであることを明示します。これにより、適切な地域のユーザーにページが表示されやすくなります。
ユーザーのIPアドレスやブラウザ設定に基づいて自動的にリダイレクトすることは避け、ユーザー自身が言語を選択できるようにすることが推奨されます。これにより、ユーザーエクスペリエンスが向上します。
WEBサイトを制作するには、制作会社などに依頼して完全にオリジナルのサイトを用意する場合を除いて、何らかのCMS(コンテンツ管理システム)を利用することをおすすめします。
ここでは、多言語対応のWEBサイトを制作する場合におすすめのCMSとそのプラグインについて解説します。
40以上の言語にワードプレスで構築されたサイトを少ない手間で運営できるようにするプラグインです。
企業サイトやブログなど、さまざまな用途で使用でき、翻訳管理に高度な機能を提供してくれます。
Polylangはワードプレス用の多言語化プラグインです。このプラグインをインストールすることで、WEBサイトを2カ国語以上に切り替えることができるようになります。
ただし、言語別の管理画面が自動生成されるわけではありません。基本となる言語(例えば、日本語)でサイトの内容やコンテンツ、タグやカテゴリーなどを作成し、あとは多言語化したいところを他の言語で作成して関連付けていく、という仕組みです。
また、注意すべきは自動翻訳機能がついているわけではないという点です。あくまでも2カ国語以上でコンテンツをそれぞれ作成し、その多言語コンテンツを関連付けてWEB上に公開するためのツールなので注意してください。
WEGLOTは、同名のクラウド翻訳管理ツールを提供するフランスの会社で、2016年に創業したテック・スタートアップです。自動翻訳では、DeepL・Google翻訳・Microsoft翻訳・Yandex翻訳の4つのソースを使用して、世界100ヶ国語以上に対応しています。
2021年11月現在、グローバルで50,000サイト以上のWebサイトで導入されているため、インストールや運用に関する情報源も多く、効率的に多言語対応サイトを構築し、管理することができます。
多言語に対応したWEBサイトを制作するには、コンテンツの内容が多言語対応されていること以外にも、デザインやレイアウトもその国の言語に合わせた調整が必要となります。
その注意点について、モバイル対応時の状況も合わせて以下に解説します。
多言語サイトを構築する際には、各言語のユーザーに合わせてデザインを調整することが重要です。これにより、ユーザーエクスペリエンスを向上させることができます。以下のポイントに注意してください。
各地域や文化に合わせたデザイン要素を取り入れることも、その国のユーザーにより受け入れてもらうためには重要な施策です。
例えば、最適な色彩、レイアウト、画像の選択などが文化によって異なる場合もありますし、ローカルの祝日やイベントに合わせたデザインの調整も効果的です。
言語によっては、文字の長さやフォントサイズが異なるため、レイアウトの調整が必要です。例えば、英語と比較してドイツ語などのテキストは長くなる傾向にあります。
また、右から左に読む言語(例:アラビア語やヘブライ語)を導入する場合は、そのためのデザイン調整も重要です。
現在のWEBサイトは、さまざまなデバイス(PC、タブレット、スマートフォン)でアクセスされるため、レスポンシブデザインの実装は不可欠です。
ここで解説する内容の多くは、日本でWEBサイトを制作する際も共通するものですが、復習のためにも改めて確認しておいてください。
レスポンシブデザインとは、ユーザーが使用するデバイスに応じてWEBサイトのレイアウトが動的に変化するデザイン手法です。
WEBサイトをレスポンシブデザインに対応して制作することで、PCやスマホなど、タブレットなどいずれのデバイスでも最適な閲覧体験を提供できます。
多くの場合、CSSメディアクエリを使用して、異なる画面サイズに応じたスタイルを適用することで、同じHTMLコードで異なるデバイスに対応できます。
原則として、はじめにモバイルデザインを設計し、その後でデスクトップ向けに拡張するモバイルファーストのアプローチが推奨されています。これにより、利用者の最も多いモバイルユーザーにより快適な体験を提供できます。
PCのブラウザよりもモバイル画面サイズのデザイン・開発を優先して注力することで、タッチ操作を考慮した大きなボタンや、縦スクロールを主体としたレイアウトなど、現在のSEO的にも重要とされる様々な施策に対応しやすくなります。
レスポンシブデザインでは、画面サイズの変化に応じてレイアウトを調整するためのブレイクポイントを設定します。
ブレイクポイントとは、「どの幅で表示を切り替えるか」ということを表しており、年々新しいデバイス製品が登場し画面サイズのバリエーションが増える中では、重要な設定ポイントです。
国によって流通しているデバイスの主流は異なると考えられますが、一般的なブレイクポイントは、スマートフォン(320px-480px)、タブレット(768px)、デスクトップ(1024px以上)で設定します。
各ブレイクポイントで異なるCSSスタイルを適用し、デバイスごとに最適なデザインを提供してください。
画像やメディアファイルのサイズを圧縮し、ページの読み込み速度を向上させます。これにより、モバイルデバイスでもスムーズな閲覧が可能です。
レスポンシブ画像技術(例:srcset属性)を使用して、異なる画面サイズに応じた画像を提供します。
これらのポイントを考慮して、各言語のユーザーに最適なデザインを提供し、様々なデバイスでの閲覧体験を向上させることができます。
弊社にご関心をお持ちいただき、
ありがとうございます。
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