release：
マーケティング戦略として、PDCAを進めているのですが、なぜかうまくいかないんです。
PDCAはすぐれた業務改善プロセスですが、実はそこにも限界があるんです。その限界を乗り越える手法として、注目を集めているのがOODA（ウーダ）ループという考え方があります。
PDCAと呼ばれるマネジメントサイクルは、業務の改善や効率化を図る手法として、様々なビジネスシーンで活用されてきました。それは、マーケティングにおいても同様です。
- P：Plan（計画）
- D：Do（実行）
- C：Check（評価）
- A：Action（行動）
しかし、現代のマーケティングにおいては、より迅速な意思決定が求められています。ビジネス環境は、変化のスピードと消費者の需要の多様化により、予測不可能性が高まってるからです。
ここで注目されているのが、より迅速な改善を可能とするOODA（ウーダ）ループです。OODAループは、観察（Observe）、状況判断（Orient）、意思決定（Decide）、行動（Act）の4つのステップからなります。
- O：Observe（観察／みる）
- O：Orient（状況判断／わかる）
- D：Decide（意思決定／きめる）
- A：Action（行動／うごく）
現在のビジネス環境においては、状況によりPDCAサイクルよりもOODAループのアプローチが有効であると考えられています。
そこでこの記事では、OODAループについて詳細に解説し、PDCAとの違いについて解説します。
マーケティング効果を最大に高めたいと考える方は、どうぞご注目ください。
目次
OODAループとは
OODAループとは、観察（Observe）、状況判断（Orient）、意思決定（Decide）、実行（Act）の4つのステップからなるプロセスであり、これまでよりも迅速で柔軟な意思決定を実現するために設計されました。
このフレームワークは、変化する環境に迅速に対応し、効果的な意思決定を支援するプロセスであり、特に予測が困難なビジネス環境において効果を発揮します。
続いて、マーケティングにおけるOODAのそれぞれのフェーズについて詳しく解説します。
O：Observe（観察）
観察（みる）フェーズでは、その名の通り、外部環境の詳細な観察に重点を置きます。これには、市場の動向、競合の動き、顧客の行動やニーズ、技術の進展など、広範囲の情報が含まれます。
観察するデータは客観的かつ現実的なものでなければなりません。感覚的なデータや、偏見や先入観が含まれてしまうとOODAループは根本から崩れてしまうため、注意が必要です。
O：Orient（状況判断）
状況判断（わかる）フェーズでは、収集した情報を分析し、現在において最適な戦略を判断します。ここでは、環境の変化、内部の強みと弱み、機会とリスクの分析が重要となります。
加えて、このフェーズでは、情報を整理して分析するとともに、それらを現実の状況にどのように適用するかを検討しなければなりません。
D：Decide（意思決定）
意思決定（きめる）フェーズでは、観察と状況判断のフェーズで収集・分析した情報に基づき、具体的な行動計画を策定します。
この段階では、利用可能なオプションを比較検討し、最も効果的な戦略を選択していくことが求められます。
A：Act（実行）
実行（うごく）フェーズでは、決定した行動計画を実行します。この段階では、テストを繰り返すことで計画通りに物事が進むかを確認したうえで、必要に応じて調整を行わなければなりません。
この実行の結果は、次の観察フェーズのための重要なフィードバックとなります。
ループを回す
OODAループの最大の特徴は、これらのステップを継続的かつ迅速に実行することです。
この連続的なプロセスにより、組織は環境の変化に柔軟に対応し、迅速に意思決定を行うことが可能になります。
循環的なプロセスにより、環境への適応能力を高め、継続的な学習と改善を促進するのです。
OODAループのメリット
OODAループはその柔軟性、スピード感、そして広範な適応範囲により、多様なビジネス環境で効果を発揮することができます。
柔軟性が高い
OODAループは、状況の変化に応じて迅速に方針を変更できる柔軟性が大きな特長です。
OODAのループを繰り返すことで、不確実性が高く、予測が困難なビジネス環境においても、組織は効率的に対応し、新しいチャンスを捉えることが可能になります。
また、市場の動向や競合他者の行動に迅速に対応することで、機会を最大限に利用し、リスクを最小限に抑えることができる点は、OODAループを適応する大きなメリットの一つです。
スピード感がある
OODAループを利用すると、意思決定と実行がスピーディーに行えます。
計画やプランを立てることから始めるPDCAと違い、その場の状況を判断して行動を起こし、結果が出るまで繰り返し検証を進めていく点が特徴となるため、経営者など上長の許可を待つことなく現場判断で行動へと繋げられるため、物事の意思決定がスムーズになるのです。
迅速な意思決定は、特に競争が激しい市場において、競合他社よりも一歩先を行くために不可欠です。
適応範囲が広い
OODAループはマーケティングへの応用だけでなく、製造業、サービス業、テクノロジー業界など、多岐にわたる分野で応用が可能です。その理由は、OODAループが柔軟性と迅速性を組み合わせているため、様々な状況や課題に対応できる汎用性の高いフレームワークであるからです。
組織の規模や業種を問わず、継続的な改善と迅速な意思決定を実現するために活用できることは、PDCAに変わってビジネスの現場で多用されるようになったことにもつながっています。
OODAループのデメリット
OODAループは、迅速な意思決定と行動のための有効なフレームワークですが、いくつかのデメリットも存在します。
これらのデメリットを理解し、適切に対処することが、OODAループを効果的に活用する鍵となります。
失敗するリスクの増加
OODAループは、状況に応じて迅速に行動することが目的ですが、観察や状況分析の段階でミスがあった場合、このスピードがプロジェクトの失敗するリスクを高める懸念があります。
特に、OODAループを導入した初期の段階では、仮説立てや情報収集が上手くいかない場合もあり、結果として、誤った意思決定につながる可能性は否めません。
OODAループではなによりもスピードを重視するため、情報収集や詳細な分析が犠牲になることがあります。
迅速な意思決定は確かに有益ですが、スピードを重視するばかりに、時には不完全なデータに基づいてプロジェクトが進んだ結果、最適な決定を見逃してしまう可能性をはらんでしまうため、注意が必要です。
組織やチームの統制が困難
迅速な意思決定を目指すOODAループにおいては、チームやプロジェクト単位などで意思決定を行っていくことが多くなります。現場の判断でスピーディーな決定ができる点はメリットである反面、組織全体としての一貫性や統制を保つことが難しくなるデメリットもあります。
この課題は、特に大規模な組織や複数のチームが関与する環境で顕著になる可能性があるため、注意が必要です。
OODAループとPDCAサイクルの違い
これまで見てきた通り、OODAループはPDCAサイクルの限界を乗り超える可能性を持ったビジネスの仕組みです。ただし、これはOODAループがPDCAサイクルよりも優れているという意味ではありません。
現代のビジネスにおいては、両者の違いをしっかりと理解したうえで、二つをうまく使い分けたり、併用したりすることが極めて重要です。本章では、OODAループとPDCAサイクルの違いに焦点を当て解説します。
PDCAサイクルとOODAループの違い
PDCAは、計画→実行→評価→改善といった4つのステップを繰り返すサイクル型のプロセスです。このサイクルは、一連のステップが順序立てて行われます。このやり方は、計画的で体系的なアプローチが求められる場合に適しています。
ただし、先に具体的な計画を立てて行動するのが特徴で、経営者層の立てた目標や都度の判断が必要となるため、効果が出るのに時間がかかる反面、具体的な工程が決まっている業務においては大いに役立ちます。
これに対してOODAはループ型のプロセスで、工程が決まっていない業務などの改善や意思決定に役立ちます。
上長の判断を待つことなく、現場の判断で状況が変わるたびに文字通り「ループ」のように成果が出るまで改善策を試すことができます。
これにより、OODAループはPDCAサイクルでの進行よりも各ステップを柔軟にし、不確実性が高く変化の速い環境においても効果的に機能するようになるのです。
業務改善に適したPDCAサイクル
PDCAは、そもそも業務の生産性や効率性を高めるために作られたフレームワークです。安定した環境下で生産効率などを分析し、その改善を目指す場合に特に適しています。
PDCAサイクルは「業務の改善」に適したフレームワークである一方で、工程そのものがあらかじめ定まっていないマーケティングなどのプロジェクト対応では真価を発揮できない場合があります。
長期的な視野で計画を立て、それを実行し、結果を評価し、必要に応じて改善策を講じるプロセスに最適なのがPDCAサイクルなのです。
意思決定を促進するOODAループ
これに対して、OODAループは意思決定をするためにデザインされたフレームワークです。不明瞭かつ常に変化する市場の要求に対して、迅速な意思決定と柔軟な行動が必要な状況下で、最善の判断を下して、即座に行動を起こすことを目的としています。
そのため、マーケティングのように予期せぬ変化や不確実性が高い環境において特に有効な手法です。上長の判断を待つことなく、現場の判断で状況をリアルタイムで評価し、必要に応じて迅速に方針を変更することを可能にするのです。
同時に、OODAループを取り入れ定着していくことで、主体的に行動できる人材の育成にも繋がることが期待できます。
まとめ～OODAループとPDCAサイクルを使い分け組織マネジメントを改善しよう
PDCAサイクルとOODAループは、その特性をしっかりと理解して適切に使い分けることが非常に重要です。
- PDCAサイクル：安定した環境下での段階的な改善や継続的なプロセスの分析と改善に適している
- OODAループ：不明瞭かつ常に変化する市場の要求に対して、迅速な意思決定と柔軟な行動が必要な状況に適している
これら2つのフレームワークは異なる特性を持ち、状況に応じた適切な使い分けが組織の柔軟性と効率性を高める鍵となるのです。
マーケティングプロジェクトのような不確定な要素を多く含んだプロジェクトでは、PDCAサイクルを採用することはあまり現実的ではありません。むしろOODAループを採用しない限り、最適なマーケティング効果は得られないと考えられるのです。
PDCAとOODAを適切に使い分けることで、業務効率を最大化しつつ、同時に変化するビジネス環境に柔軟に対応し、効率的な意思決定を行うことが可能になります。
マーケティング戦略の成功はもちろんのこと、組織全体の成長と発展を促進するためには、両者の特性をしっかりと理解し、適材適所でこれらのフレームワークを当てはめていくことが重要なのです。
複雑で多様化するマーケティング戦略に関して対応することは、豊富なスキルと知識、そして経験が必要となります。
もしもマーケティングに関して自社だけでは最適な戦略が立てられない場合は、ぜひともマーケティングのプロフェッショナル企業である「株式会社MU」にお気軽にお問い合わせください。
