WEBシステムのセキュリティリスクと対策|安全を保つ施策とは

WEBシステムのセキュリティリスクと対策|安全を保つ施策とは
担当者
担当者
WEBサイトの運営には危険もあると思いますが、どんなものがあるのでしょう?
コンサル先生
コンサル先生
確かにWEBサイトを運営するには、様々なセキュリティリスクに対応しなければなりませんね。現在考えられる様々なリスクをまずは一通り解説しますね。

現代社会においてはビジネスでも日常の暮らしの中でも、インターネットはもはやなくてはなならない存在です。ネットを介して行う多くのタスクは「WEBシステム」と呼ばれるオンライン上のシステムを通じて行われています。

WEBシステムとは、ざっくり言えば、ユーザーのデータの保存をはじめ、さまざまな機能をオンライン上で提供したりするシステムやアプリケーションのことを指します。

オンラインショッピングのサイトやインターネットバンキング、さらにはクラウド上でのデータ管理など、私たちが日常的に利用している多くのサービスはこのWEBシステムによって支えられています。

WEBシステムは、見た目のデザインや情報を表示するだけの「WEBサイト」の裏側に隠れていますが、複雑な機能やデータベースから成り立っているのです。

ただし、WEBシステムは、オンラインで動作するあらゆるシステムの基盤であるがゆえに、何らかのトラブルが発生すると非常に大きな影響を及ぼしてしまう懸念があります。

そのため、セキュリティに対する対策など、システムの安全性の確保は非常に重要です。

本記事では、WEBシステムのセキュリティリスクを整理したうえで、それをどのようにして守るべきかについて解説します。

目次

  1. セキュリティリスクと対策
  2. データベースのセキュリティ
  3. SQLインジェクションの防止
  4. データベースアクセス制御
  5. データベースエンクリプション
  6. APIのセキュリティ
  7. APIエンドポイントへの不正アクセス対策
  8. CORSポリシーの設定
  9. レートリミットの導入
  10. セッション管理
  11. セッションハイジャックの防止
  12. セッション・タイムアウト設定
  13. ユーザーデータの保護
  14. エラーハンドリング
  15. システムの内部情報は隠す
  16. ユーザーの困りごとを減らす
  17. バックアップとリカバリ
  18. 定期的なシステムバックアップ
  19. リカバリプロセスの確立
  20. WEBシステム全体の安全を保つ施策
  21. セキュリティアップデートの定期実施
  22. セキュリティ監査とログの監視
  23. 従業員教育の推進
  24. まとめ

セキュリティリスクと対策

セキュリティリスクと対策

WEBシステムは、企業の重要なデータや、個人の情報などを扱う場合も少なくありません。そのため、常にさまざまなセキュリティリスクにさらされています。

このリスクを知らないままシステムを運用していると、突如として大きなトラブルに巻き込まれ、企業にとって重大な損失を引き起こすことがあるのです。

しかし、リスクを知っていれば、対策も講じることができます。そのため、まずはWEBシステムの主要なセキュリティリスクについて解説していきます。さらに、それらのリスクを最小限に抑えるための効果的な対策について詳しく見ていきます。

データベースのセキュリティ

データベースとは、情報を組織的に管理し、必要なときに迅速にアクセスできるようにするシステムのことです。

この「情報の保管箱」が守られていない場合、攻撃者による情報の盗難や改ざんなどのリスクが高まってしまいます。万が一にも、顧客情報や会社の機密情報が漏えいしてしまえば、ビジネスの存続すら脅かされる懸念があります。

こうした被害からデータを守るために重要である、主なデータベースセキュリティの手法を紹介します。

SQLインジェクションの防止

SQLインジェクションとは、攻撃者がアプリケーションのセキュリティホールを利用して、不正なSQL文を注入し、データベースを不正に操作する手法です。SQLが書き加えられるとデータベースが正常に動作しなくなったり、データの盗難や改ざんなどの被害を受ける可能性があります。これを防止するには、次のような施策が考えられます。

  • パラメータ化されたクエリの使用:ユーザーからの入力を直接SQLクエリに組み込むのではなく、パラメータとして渡す仕組みの導入
  • ORM(Object Relational Mapping)ツールの利用:プログラムとデータベースの間の「翻訳者」の役割を果たすQRMを導入することで、安全なクエリの生成をサポートする
  • ユーザ入力のチェック:入力データの型や長さ、内容などを厳格にチェックして、不正なデータの入力を防止する

データベースアクセス制御

データベースの安全性を保つためには、そもそもデータベースに対するアクセス権限を、特定のユーザーやグループに制限する手法も効果的です。

例えば、次のような方法が考えられます。

  • ロールベースのアクセス制御:ユーザーの役割に基づいてアクセス権限を付与する
  • 最小権限の原則:ユーザーやアプリケーションが必要とする最小限の権限だけを付与することで、不要なアクセスを制限する

データベースエンクリプション

その他にも侵入された際の被害を最小限に留めるための手法も開発されています。例えば、データベースのデータを暗号化することにより、万が一、第三者が不正にアクセスしてきた場合でも、内容を読み取ることができないようにすることが可能です。

主に次のような手法を用いて、データを暗号化します。

  • 透過的データベース暗号化 (TDE):データベース全体を暗号化する方法。データがディスクに保存されるときに自動的に暗号化され、アクセスするときに自動的に復号化される
  • 列レベルの暗号化:特定の列(クレジットカード情報など)だけを暗号化する方法。高いセキュリティが求められるデータに特化した手法

APIのセキュリティ

API(Application Programming Interface)とは、異なるプログラムやシステム間で情報を効率的に交換するためのインターフェースです。

これを適切に保護しないと、情報の漏えいやシステムの不正利用が生じる可能性があります。

APIを保護するための対策は、主に次のように行われます。

これらの手法は、多くの攻撃からAPIを守るための基本的なものであり、正しく実装されなければなりません。

APIエンドポイントへの不正アクセス対策

APIエンドポイントへの不正アクセスに対しては、主に次のような手続きを行うことで防止できます。

  • 認証:誰がAPIにアクセスしているのかを特定するための手続き。最も一般的な方法としてはトークンベースの認証(例: JWT, JSON Web Tokens)やAPIキーの利用がある
  • 認可:認証されたユーザーが行うことができる操作を制限するプロセス。例えば、ユーザーの役割に応じて読み取りや書き込みのアクセス権限を制限する
  • SSL/TLS化:APIの通信はSSL(Secure Sockets Layer)もしくはTLS(Transport Layer Security)を使用して暗号化することにより、データの途中での傍受や改ざんを防ぐ

CORSポリシーの設定

CORS(Cross-Origin Resource Sharing)とは、WEBページが他のオリジンのリソースにアクセスすることを制限するセキュリティ機能です。

これにより、悪意のあるWEBサイトからのAPIへの不正なリクエストを防ぎます。

APIサーバは、特定のオリジンからのアクセスのみを許可するようにCORSヘッダを設定することができ、これにより許可されていないオリジンからのリクエストは拒否されます。

レートリミットの導入

レートリミットとは、ユーザーやIPアドレスごとにAPIリクエストの数を一定の期間内に制限する機能です。

これは、DDoS攻撃やブルートフォース攻撃などの悪意のある行動を検出し防止するために使用されます。また、APIのリソースを公平に分配するためにも有効です。

レートリミットの実装は、ミドルウェアやAPIゲートウェイ、またはクラウドサービスとして提供されるソリューションを使用することで簡単に実装することができます。

セッション管理

WEBアプリケーションでは、ユーザーがログインし、その後のアクティビティがそのユーザーに関連付けられるように、「セッション」を使用してユーザーを追跡します。

セッションは一時的なもので、特定の期間やアクティビティが完了すると終了します。

セッション管理は、ユーザーの安全を確保するための重要な要素の1つであり、適切なセキュリティ対策を施さないと、攻撃者によってセッションが乗っ取られ、ユーザーのデータが危険にさらされる可能性があります。

以下の対策は、効果的なセッション管理のための基本的なものです。

セッションハイジャックの防止

セッションハイジャックとは、ログイン中のユーザーのセッションIDを攻撃者が不正に取得して、セッションを乗っ取る攻撃手法です。これを防止するためには、次のような対策が考えられます。

  • HTTPS:セッション情報やセッションIDを暗号化するために、HTTPS(セキュアなHTTP)を使用し、中間者攻撃(Man-in-the-Middle attack)を防ぐ
  • セキュアなセッションID:予測困難な長さと構造を持つセッションIDを使用することで、攻撃者がセッションIDを推測するのを難しくする

セッション・タイムアウト設定

セッション・タイムアウトとは、セッションが終了しユーザーが再度ログインするまでの間の「非アクティブ期間」のことです。

この期間を管理者側で設定しておくことで、攻撃者が付け入る時間を少しでも短くし、セッションハイジャックなどのリスクを軽減します。

その手法には、主に次の2つがあります。

  • 不活動タイムアウト:一定期間ユーザーからのアクティビティがない場合、セッションが自動的に終了するように設定し、放置された端末を利用した不正アクセスを防ぐ
  • 絶対タイムアウト:最初の開始から一定の時間後に必ずセッションが終了するように設定する。これは、たとえユーザーがアクティブであっても、定期的に再認証を要求することでセキュリティを強化する

ユーザーデータの保護

ユーザーから預かった情報は、企業にとって最重要の保護対象であり、その取り扱いには細心の注意が必要です。

ここでは、主なユーザーデータの保護方法を紹介します。

  • データのエンクリプション:ユーザーの情報を暗号化して保存する。これにより、情報を盗もうとする攻撃者が情報を読むことをできなくする
  • 2要素認証の導入:ログイン時に、パスワードだけでなく、電話番号など別の方法で確認をとることで、セキュリティを強化する
  • パスワードのハッシュ化とソルトの使用:パスワードを特殊なコードに変換して保存し、さらに追加の情報(ソルト)を加えることで、盗まれにくくする

エラーハンドリング

エラーハンドリングとは、エラーが起きたときに、システムが発するメッセージをうまく利用して、安全性を保つ手法のことです。

エラー表示を適切に行うことで、サービス提供側が意図しない行動をユーザーが取らないようにして、ユーザーが誤った情報にアクセスしてしまう状況を防ぐことができます。また、適切なエラー表示はユーザー側の利便性を高め、顧客満足度の向上にも寄与します。

システムを使用する以上は、エラーが出ること自体は避けられないことも多いものの、その際にどのようなエラーメッセージを表示するかで、ユーザーの不安や困りごとを減らすことができます。

エラーメッセージを表示する場合には、次のようなことに注意しておくことが必要です。

システムの内部情報は隠す

WEBシステムが問題を検知したとき、その原因や詳しい情報をそのまま外部に出してしまうと、悪意のある攻撃者たちがそれを利用して攻撃をしてくる可能性があります。そのため、内部の詳しいエラーメッセージは表示しないようにすることが重要です。

ユーザー側が、システムのどの部分でエラーが生じているかを詳しく知る必要はないため、代わりに「申し訳ございません、エラーが発生しました。」のような一般的なメッセージを表示するのも一つの方法です

ユーザーの困りごとを減らす

WEBシステム内で問題が起きた場合、ユーザーにはその理由や背景の情報は必要ないものの、どのように解決すればよいか知る必要があります。

大切なのは「何が問題で、どうすればよいか」を的確に伝え、ユーザーの不安を払拭することです。

例えば、パスワードの入力が間違っているときは「パスワードが間違っています。もう一度確認してください。」と教えてあげることで、ユーザーは次に何をすればよいかをすぐに理解できます。

こうした取り組みはすでに当たり前のものになっていますが、より複雑なシステムを運用する場合でも基本的な考え方は同じです。

システムのどの部分でどのようなエラーが発生しているかを詳細に知らせるのではなく、代わりにエラーを解消するためにユーザーがとるべき行動をわかりやすく示す方法を検討することをおすすめします。

バックアップとリカバリ

データやシステムは、どれだけ対策をしていても、予期せぬトラブルで失われるリスクをゼロにはできません。そんな時でも、事前の準備があれば大切な情報を守ることができます。

トラブルはいつ起きるか分からないため、常に準備をしておくことで、大切なデータを失うリスクを減らし、安心してシステムを利用することができるのです。

そのためには、定期的なデータのバックアップとリカバリプロセスを確立しておくことが重要です。

以下、詳しく解説します。

定期的なシステムバックアップ

定期的にシステムのバックアップ(データのコピー)を取っておくことは、重要なセキュリティ対策です。

これは、アナログで言うところの大切な写真や書類を別の場所にコピーして保存するのと同じ考え方です。

コンピュータの中の情報(データ)を定期的に別の場所(外部のハードドライブやクラウドサービスなど)にコピーし保存しておくことで、万が一コンピュータが壊れてしまったり、データが消えてしまったりした時でも、このコピーを使って元の状態に戻すことができます。

リカバリプロセスの確立

大切なデータが紛失してしまったり、他者の攻撃によって改ざんされてしまったりといった、万が一トラブルが起きてしまったときはどうすればよいのか。どのデータをどこから取り戻すかなどの手順を事前に考えておくことも、重要な対策です。

このようなリカバリプロセスをしっかりと確立し、関係者全員で共有しておくことにより、トラブルが起きた時も慌てずに対処することができます。

WEBシステム全体の安全を保つ施策

WEBシステム全体の安全を保つ施策

WEBシステムは、様々な脅威から守られていなければなりません。

攻撃者がシステムの脆弱性をついた不正アクセスの試みは日々進化しているため、システムを守るための取り組みも常に更新し続ける必要があります。

以下の施策は、WEBシステムの安全性を高めるための基本的なステップです。

セキュリティアップデートの定期実施

ソフトウェアやプログラムには、新しい脅威に対応するためのアップデートが定期的に提供されます。

これらのアップデートは、新しい保護機能を追加したり、既知の問題を修正したりするものです。

アップデートを定期的に実施することで、システムのセキュリティホール(プログラムの不具合や設計上のミスを原因とするセキュリティ上の欠陥)を減少させることができます。

セキュリティ監査とログの監視

システムが正常に動作しているかや、不正なアクセスがないかなどをチェックするためには、専門の監査ツールも用意されています。

こうしたツールを適切に利用することで、早期に問題を検出し、対応することが可能になるのです。

また、システムの動作を記録するログを常時監視することで、異常な動きや疑わしいアクセスをすぐに捉えることができます。

従業員教育の推進

技術的な対策だけでなく、WEBシステムの開発・運用に携わる従業員の意識も非常に重要です。

誤った操作や無意識な行動が、セキュリティの脅威となることは往々にしてあります。それどころか、セキュリティトラブルの大部分はヒューマンエラーに起因しているという報告もあります。

そのため、定期的な研修や教育を行い、従業員のセキュリティ意識を高めることで、ヒューマンエラーに起因するリスクを減少させることができます。

まとめ

Webサイトやアプリのセキュリティは、絶えず進化する脅威に対応するために、継続的な注意と対策が必要です。

ただし、その対策は特別な知識やスキルを持たない人にとっては、なかなか対応が難しい分野でもあります。

故意や過失、そして外部の悪意ある攻撃者といった要因に関わらず、ひとたびWEBシステムのエラーが起こってしまっては、ユーザーからの信頼を損ない、企業としてのブランドも著しく低下してしまうことにもなりかねません。

企業の信頼を守り、ビジネスを進めていくためにも、強固なセキュリティ対策は専門の業者に任せることをおすすめします。

WEBシステムの開発、そしてセキュリティ対策に悩んだら、どうぞ株式会社MUにお気軽にご相談ください。

筆者プロフィール

MU編集部

MU編集部

株式会社MU / 編集部
「お客様と共に前進するデジタルパートナー」をキーメッセージに掲げ日々、DX推進企業としてデジタルトランスフォーメーションを推進。
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