システム開発の基本3ステップとプロジェクトを成功に導くポイント

システム開発の基本3ステップとプロジェクトを成功に導くポイント

目次

  1. ステップ1:要件定義
  2. ステップ2:システムの設計
  3. UML(Unified Modeling Language)
  4. ER図(Entity-Relationship)
  5. フローチャート
  6. ステップ3:開発と実装
  7. 開発環境の構築
  8. コーディング
  9. 統合
  10. テスト
  11. リリース
  12. 基本3ステップを踏まえたプロジェクト成功のポイント
  13. チーム内コミュニケーション
  14. 適切なツール選択と導入
  15. 品質管理への意識と取組み
  16. まとめ~基本ステップを理解してプロジェクトを成功に導こう
後輩くん
後輩くん
先輩、システム開発ってどういう手順で進めるんですか?
先輩さん
先輩さん
システム開発をうまく行うには、次の3ステップに従うといいよ。そのうえでチームやクライアントさんとのコミュニケーションが重要だね

システム開発において、プロジェクトを成功に導くためには、多くの工程を経る必要があります。

その流れを大まかに捉えると、次の3つの基本ステップに分類することができます。

  • ステップ1:要件定義
  • ステップ2:設計
  • ステップ3:開発・実装

この大まかな基本ステップを理解しておかなければ、システム開発は迷いなく進めることはできません。

そこで本記事では、この基本3ステップの概要を解説するとともに、それぞれをさらに細分化していくつかの重要なプロセスをご紹介します。

さらには、基本3ステップを踏まえたプロジェクト成功のポイントについても解説しますので、システム開発を自社で行う場合は元より、外部ベンダーに委託して行う場合でも参考になると思いますので、どうぞ最後までお付き合いください。

ステップ1:要件定義

ステップ1:要件定義

要件定義とは、これから作るシステムがどういった内容なのかを決定する工程のことを指します。システム開発において最も重要なステップの1つであり、システム開発を成功に導くためには欠かせないものです。

要件定義に際しては、ユーザー(顧客・発注者、あるいは使用するスタッフなども含む)がどのようなシステムを求めているのか、どのような機能が必要なのかを明確にする必要があります。

このため、ユーザーとのコミュニケーションを通じて、ユーザーの要望を把握することが必要です。

ただし、通常の場合、ユーザーはシステム関連の詳しい知識を持っているわけではありません。

そのため、聞き取った意見をそのままシステムに落とし込もうとすると様々な矛盾が生じたり、無駄な繰り返し作業が発生したりしてしまいます。

こうした点を整理し、システムの全体像をはっきりさせておくことは、システム開発を実際に行うエンジニアに明確な指示を出すためにも重要です。

開発するシステムの全体像を明確にしておかなければ、その先の道筋が明確になりませんし、多数のスタッフが関わるプロジェクトでは、チームがまともに機能することも望めません。

また、要件定義は、システム開発の全体的な効率性を高めるためにも重要です。

要件定義が不十分であった場合、後のステップでユーザーの要望が実現できないという問題が生じる可能性もあります。それによってシステム開発の進捗が遅れたり、修正作業に時間を要して開発の効率性が低下してしまうことすらあり得るのです。

要件定義は、一般的に次のような流れで行われます。

  • 解決したい課題と目標の明確化:どのような問題を解決するのか、何のためのシステムなのかを明確にし、プロジェクトの進行が目的から大きく乖離することを防ぐ
  • ユーザーとのコミュニケーション:必要に応じてユーザーからのヒアリングやアンケートを通して、実際の「声」を吸い上げて課題として反映させる
  • 要件の整理と整合性の確認:集めた情報を整理して、相互に整合性があるかどうかを確認する
  • 要件仕様書の作成:開発チームや関係者がシステムの全体像を把握するためのドキュメントとして、要件仕様書を作成する

ステップ2:システムの設計

ステップ2:システムの設計

システム開発のステップ2である設計は、要件定義を基にしてシステムの構造や仕組みを具体的に設計するステップです。

設計を行う上で重要なポイントは、システムの機能や仕組みを明確にし、それに基づいて設計を進めることです。

まずは、要件定義に基づいて、システムにどのような機能を持たせ、どのような仕組みで動かすかを明確にします。

この際、業務フローを図に起こすことで、システムの機能や仕組みを可視化する。あるいは、データフロー図を作成することで、システム内でのデータの流れを明確化していきます。

また、設計の際は、テストを考慮した設計にすることで、テストの効率化やテストカバレッジの向上を図ることができるのです。

設計の具体的な手法について、次のようなものが挙げられます。

UML(Unified Modeling Language)

UMLは、オブジェクト指向設計のための共通言語であり、様々な図やモデルを使用してシステムの構造やプログラムの動線を表現することができます。

UMLには、クラス図、シーケンス図、コンポーネント図、状態遷移図など、様々な種類の図があり、それぞれの図には、システムのある一面を表現することができます。

  • クラス図:クラスやオブジェクトの関係性を表現する
  • シーケンス:システム内でのオブジェクト間のメッセージのやりとりを表現する
  • コンポーネント図:システムを構成する部品とその関係性を表現する
  • 状態遷移図:オブジェクトの状態遷移を表現する

ER図(Entity-Relationship)

ER図は、データベースが必要なWEBサイトやシステムの設計に使用される図で、ER図なくしてデータベースの構築はできないと言えるほど、データベース設計の基本となる設計手法です。

ER図の代表的な記法は、次の2つが挙げられます。

  • IE記法:リレーションが直感的に理解しやすい記法
  • IDER1X記法:IE記法より細かい表現をすることができる記法。一方で、直感的な分かりやすさは低い

フローチャート

フローチャートは、業務プロセスやシステムのフローを表現するための図です。

フローチャートには、開始点、終了点、処理、判断などの要素があり、それらを組み合わせることで、業務プロセスやシステムのフローを表現することができます。

ステップ3:開発と実装

ステップ3:開発と実装

ステップ3では、実際にシステムの開発・実装を行います。

システム開発で多く用いられるアジャイルな開発手法では、要件定義により作られた設計書に従って、エンジニアが実際にシステムを開発し、テストを繰り返した後、世の中にリリース(実装)します。

システムの開発と実装の流れは、以前に別の記事で詳しく紹介していますので、そちらも併せて参考にしてください。

開発環境の構築

まずは、開発に必要な環境を整えます。

開発に必要なツールや言語、フレームワークを選定し、環境を整えます。

コーディング

開発チームは、設計書を基に、プログラムのコーディングを開始します。

コーディングとは、プログラミング言語を使用して、プログラムに動作させたい作業をソースコードで書いていく作業のことで、プログラミングの作業工程の1つです。

プログラミング言語やフレームワークによって、コーディングのスタイルや書き方が異なることはありますが、どんな場合でも設計書に基づいて開発が進められます。

なお、コーディングを専門に担当するエンジニアを、特別に「コーダー」と呼称する場合もあります。

統合

大きなプロジェクトでは、1つのシステムを1人のエンジニアが担当するわけではなく、細分化されたタスクを複数のスタッフで別々にコーディングしていく場合がほとんどです。

そのため、別々に作成されたソースコードを、1つにまとめる作業をシステム開発の現場では「統合」と呼びます。

複数のエンジニア、あるいはコーダーが作成したソースコードを、単体のテストを実施し、各機能が正常に動作するかどうかを確認。問題がなければそれぞれを統合し、1つのプログラムとして組み上げて一旦の完成とします。

テスト

統合して作られたシステムの各機能が互いに連携し、システム全体が正常に動作するかどうかを確認します。

この結合テストが完了したら、システムテストを実施し、システム全体が正常に動作するかどうかを確認し、問題があればバグを修正します。

この時、設計書に沿って様々なケースを想定したテストケースを作成・実行することで、使用との差異や不具合を発見しなければ、システムの品質は担保されないため、テストはシステム開発においても重要なプロセスです。

さらに、システムテストが完了したら、顧客やユーザーが実際に使用する環境で受け入れテストを実施します。

リリース

受け入れテストが完了したら、当然ながらシステムをリリース(実装)します。

ただし、特にアジャイルな開発手法においてはリリースしたからといってプロジェクトが完了するわけではなく、その都度ユーザーの意見を吸い上げ、修正と再実装を繰り返すことでシステムはより進化します。

同時に、リリース後は保守や運用のフェーズに移行し、システムの安定稼働や改善を進めることが重要です。

基本3ステップを踏まえたプロジェクト成功のポイント

基本3ステップを踏まえたプロジェクト成功のポイント

システム開発においては、このような基本的な3つのステップを踏むことが重要です。

しかし、単にステップを踏むだけではプロジェクトの成功には繋がりません。

そこで、ここではこれらのステップを踏まえた上での、プロジェクトを成功に導くためのポイントについて解説します。

チーム内コミュニケーション

コミュニケーションは、システム開発において非常に重要な要素です。

開発チーム内でのコミュニケーションはもちろんのこと、関係部署とのコミュニケーションも欠かせません。

特に、ユーザーのニーズを正確に把握し、それに基づいて開発を進めるためには、ユーザーとのコミュニケーションが重要となってきます。

要件定義フェーズでのコミュニケーションは、開発の成功にとって極めて重要ですし、ユーザーからの要件を理解するためには、ユーザーとの意見交換が必要です。

設計や開発のフェーズでも、チーム全員が同じ方向を向いて開発を進めることができれば、システムの品質や開発期間の短縮に繋がるため、やはりコミュニケーションが重要となってくるのです。

適切なツール選択と導入

適切なツールの選択や導入は、開発効率や品質を向上させることに繋がるため、非常に重要なポイントです。

ツールの選択は、プロジェクトに必要な機能や目的に合わせて選定しなければなりません。

例えば、バージョン管理や課題管理などの基本的な機能を備えたツールから、自動テストやコードレビューなどの高度な機能を備えたツールまで、目的に応じて必要なツールは変化します。

また、ツールの導入にあたっては、そのツールを使用することで得られる効果やリスクを事前に十分に評価しておかなければなりません。

導入コストや学習コスト、保守コストなどを含めた全体的なコストを考慮し、ツールの使用方法や設定方法を理解した上で、導入後のトラブル対応や運用に備えます。

必要があれば、開発に携わるメンバーにそのツールを正しく使用するための教育やトレーニングを行うことで、開発プロセスの効率性や品質を向上させることができます。

品質管理への意識と取組み

品質を維持することは、システムの安定性や信頼性を確保するために不可欠な要素であるため、開発チーム全員が品質に対する意識を持つことが大切です。

品質管理に対する共通認識を持ち、品質に対する優先度を明確にすることで、開発中に問題が発生した場合にも迅速に対応できます。

また、品質を維持するためには、適切な手法を用いた品質管理も必要となります。

例えば、コードレビューやテストを行うことで、バグの早期発見や修正が可能になります。特にコードレビューの際は、チーム内のメンバーが互いのコードをチェックし、問題点を指摘しあうことで品質向上を図ります。

テストでは、システムの正常な動作や仕様の遵守を確認します。

さらに、品質検査ではシステムの動作や仕様に対する評価を行い、品質に問題がないかを確認し、開発が完了した後にも定期的に行うことで、品質の持続的な改善を図ることができるのです。

まとめ~基本ステップを理解してプロジェクトを成功に導こう

システム開発を適切に進め、プロジェクトを成功へ導くためには、システム開発の基本的な3ステップを理解しておくことが重要です。

  1. 要件定義
  2. 設計
  3. 開発・実装

システム開発にあたっては、全てのスタッフがこうした流れを理解し、適切に進めることがプロジェクトの成功に繋がり、チーム全員が協力し、常に改善に取り組む姿勢が求められます。

貴社がシステム開発を外部に委託する場合でも、こうした基本ステップを理解しておくことは、より効果的なシステムを手にするためにも重要な要素なのです。

基本ステップに沿ってしっかりとした基盤を作り上げ、ユーザーのニーズを満たせる、品質の高いシステムを提供することにより、プロジェクトは成功へと導かれます

ぜひともこの機会に、システム開発の基本3ステップをご理解ください。

筆者プロフィール

MU編集部

MU編集部

株式会社MU / 編集部
「お客様と共に前進するデジタルパートナー」をキーメッセージに掲げ日々、DX推進企業としてデジタルトランスフォーメーションを推進。
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